エジプト赴任への道のり ②引越し

エジプト

前回の記事では、ビザ関連の手続きについてまとめました。今回はスイスから運んだ荷物の受け取りについて説明します。

それなりの覚悟が必要

船便での引越しは絶対止めた方がいいです。できることなら家具付きの物件を借り、生活必需品は赴任する際に超過料金を払ってでも出来るだけ飛行機で持ち込み、残りを航空便で運ぶにとどめておくのが賢明です。船便は遅いだけでなく、根拠不明の巨額の関税がかかり、更に「全量」荷物検査で家財道具が壊されます。どうしても船便が必要なら、必ずフルに保険をかけ、関税費用を会社などが負担してくれるのか事前確認をお勧めします。

また、エジプトの引越し業者の質はビザ代行業者同様ひどいです。当初の見通しより荷物の到着が大幅に遅れたにもかかわらず、どこで止まっているか、いつごろリリースされるかなど途中経過の連絡はなく、自分たちのペースで突然、書類要求・関税代請求・配送日などを連絡してきます。顧客のことを考えてではなく、自分たちの都合だけ考えて動くので、こちらも心構えが必要です。

持ち込み禁止品が多い

そんな引越し業者から事前に連絡された禁止品は以下の通りでした。

Forbidden Items: Alcoholic beverage, antiques aging 50 years plus, telephones, WI-FI Router, All device with building WI-FI, GPS devices, drugs, all medical equipment,  swords, pistols, daggers, rifles, all printers, telescopes, jewelry, globe, foods in large quantities exceeding 5% of shipment volume, RC helicopter, drones, signed paintings, framed daggers, cell phones, wireless phones, satellite receivers, globes, binoculars, pharmaceutical and nutritional supplements, ammunition, narcotics illegal drugs, politically sensitive material, as well as anti-Islamic material, endangered species of wildlife, gold and silver; with the exception of tableware, scuba diving knives, new clothing items, jewelry, all communications equipment, Persian rugs, firecrackers, counterfeit currencies, new furniture, tobacco products; quantities of used clothing items imported for charity purposes, and pornography.

まずイスラムの国なのでお酒が原則ダメです。飛行機で入国する際に年齢にかかわりなく一人1リットル持ち込めるだけです。驚きは、プリンター、携帯電話、wifiルーター、ラジコンヘリ、ドローン、双眼鏡なども禁止。新品の服、医薬品、医療機器とみなされるものもダメです。

朗報は、全引越し品の5%以内であれば食料品を持ち込めること。但し、みりんなどアルコールが含まれているとダメです。ちなみに食料品はダメという説もあるので、自己責任で持ち込みました。DVDやCD、書籍なども反宗教的でないかチェックされるそうです。

なかなか受け取れない

スイスから1月5日に、大きいコンテナ1つ分の船便とダンボール数箱分の航空便を出しました。出した後に、エジプト側の引越し業者から、居住許可証が下りないと航空便含め一切の荷物の通関ができないと言われました。居住許可が下りたのは3月なので、航空便で送付する意味はほとんどなかったです。

また、荷物の到着予定がまったく読めなかったので、新居の契約日や入居開始日、レンタル家具の契約期間などが決めづらくて困りました。

航空便は、居住許可が下りてから数週間後=スイスから送った約3か月後にデリバリーされました。関税とかはなかったですが、スイスの万能ナイフ外貨のコインが特に説明もなく没収されました。禁止品のリストには無かったけど?と引越し業者に問い合わせましたが「エジプト税関はいかなるアイテムも禁止品として持ち込みを拒否する権利を有する」との回答でした。もしかして2品で済んだのはラッキーだったのかもしれません。

引越し荷物に関税?

船便は、スイスから送った4か月後にデリバリーされました。その直前、何の前触れもなく業者から$5,000以上の関税を払うように連絡が来ました。根拠を聞いても不明瞭。明細を出してもらうも、資産$20,000x税率25%=$5,000みたいなことが書かれているだけで、要領を得ません。

納得いかないので、当局にきちんとした説明を求めるように業者につたえましたが、業者いわく荷物保管料が毎日$150ぐらいかかるから早く引き取った方がいいと。関税もこの程度ならマシだと。

こんなの個人で払えないし、そもそも聞いてないので、周囲の外国人に確認してみると、皆それぐらい払ったとのこと。。。結局会社に事情を説明し、全額払ってもらいました。ちなみに支払いはエジプトポンドです。もし個人負担の場合、エジプトに来たばかりの人が、それだけの現地通貨をどう用意するのでしょう。

通常の郵送物もこの調子で信じられない関税がかけられるので、エジプト国外から荷物を送ってもらったり通販で買い物するのは止めた方がいいです。

しかも雑

船便がデリバリーされてびっくりしたのは、過去最悪の破損数。食器など十数点が割れ、ランプシェードは破れ、ホームベーカリーには踏まれたような跡がついていました。

また、通関検査では梱包をカッターで切り開くようで、その際のカッター跡がダイニングテーブルにがっつり。同様に掛け軸もカッターで切られました。すべて保険求償しましたが、しばらくショックでした。

引越作業員は大人数来ましたが、全体的に粗雑。スピード重視という感じであまり丁寧ではありません。予定より遅れてきたのに、1時間ほど作業したところでお茶くれと言われ唖然としましたが、のちにこれはエジプトで一般的と知りました。

また、業者の上役みたいな人が突然女性を連れてやってきて、無断で室内や庭の様子を撮影したりうちのピアノを勝手に弾いたりした末に、作業は一切手伝わず帰っていったのは驚きでした。

とはいえ、心配していた食料品はすべて無事に到着。サイン入りの絵画やアンティークの版画など禁止品リストにあったものたちも没収されずに持ち込むことができました。あとは次の引越しでこの国を出ていくときに揉めないことを祈るばかりです。

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